天狗道へでも
堕ちたかして、飲もうとする茶が火になった。
人生の為の芸術は、一歩を転ずれば芸術功利説に
堕ちる。
そして勧進比丘尼はつひに遊女の如き生活をするものに
堕ちた。
ようやく川を渉る、足袋底がこそばゆいから、草鞋を釈いて足袋を振うと、粗製のザラメ砂糖のような花崗の砂が、雫と共に
堕ちる。
一見清楚な娘であったが、壊れそうな危なさがあり真逆様に地獄へ
堕ちる不安を感じさせるところがあって、その一生を正視するに堪えないような気がしていたからであった。
寂しい墓原の松のかげに、末は「いんへるの」に
堕ちるのも知らず、はかない極楽を夢見ている。