売るお薬というのはたった五粒の丸薬で、名前を『若返り薬』というのでした。
ただ売台の前の硝子戸に小さな穴のような窓が明いていて、そこから晩い客に煙草を
売ることが出来るようにしてあった。
——この時の事は後になっても、和尚贔屓の門番が、樒や線香を
売る片手間に、よく参詣人へ話しました。
翌月の十五夜も月見の宴などは一切遠慮で、江戸の町に芒を
売る声もきこえなかった。
これは飴細工をするのでなく、ぶつ切りの飴ん棒を一本二本ずつ
売るんです」
粧飾より相貌まで水際立ちて、凡ならず媚を含めるは、色を
売るものの仮の姿したるにはあらずやと、始めて彼を見るものは皆疑へり。
……横浜の或亜米利加人へ雛を
売る約束の出来たのは十一月頃のことでございます。
干魚を
売る女 何の健気な事がありますものか? 捨てられた妻子の身になれば、弥陀仏でも女でも、男を取つたものには怨みがありますわね。
その男に肌身を任せるのは、不如意な暮しを扶ける為に、体を
売るのも同様だつた。