内田百間氏の作品は多少俳味を交へたれども、その
夢幻的なる特色は人後に落つるものにあらず。
夢幻劇 架空な物語を美しい幻想の世界として描いたもの。
喜劇「候補者」、
夢幻劇「心の城」は「ボ※リイ夫人」の足もとにも及ばない。
されば我らは神秘を尚び、
夢幻を歓び、そが腐爛したる頽唐の紅を慕ふ。
それは、明けきらない薄明のなかで、妖しい
夢幻のように見えた。
悲しくもあり楽しくもありというような状態で、忘れようと思うこともないではないが、寧ろ繰返し繰返し考えては、
夢幻的の興味を貪って居る事が多い。
明くれば早暁、老鶯の声を尋ねて欝叢たる藪林に分け入り、旧日の「我」に帰りて
夢幻境中の詩人となり、既往と将来とを思ひめぐらして、神気甚だ爽快なり。
たとひ三百歳の齢を保ち、楽しみ身に余ると云ふとも、未来永々の果しなき楽しみに比ぶれば、
夢幻の如し。
予はふかくこの
夢幻の感じに酔うて、河口湖畔の舟津へいでた。