しかるに何んぞ対等の礼を執ったる国書を持来たすとは! そこで「これより後蛮夷の礼を
失するものあらば、之を奏聞すること勿れ」と侍臣に言渡したほどであった。
それに封建色の強いこの社会では大先輩を待たせておいて散歩は礼を
失するも甚だしいというような考え方も濃厚だ。
「夜の宿」の成功を全然翻訳の価値に帰することは「演出者」に対して必ずしも礼を
失することにはなるまい。
が、それにもかかわらず、若杉裁判長の判決は、いつも寛大に
失するくらいでありました。
君に対して頗る礼を
失するかも知れぬが、現になお雪江さんに対して、強い愛着の念を持って居る僕が、雪江さんの良人となる君に、どうして敵意を挟むことが出来よう。
が、さう解釈する事は独り礼を昨日の上官に
失するばかりでなく、予に教師の口を世話してくれた諸先生に対しても甚だ御気の毒の至だと思ふ。