失踪から四日目の夜、長野市の警察から知らせがきて、自殺の目的で長野市中をうろついてゐた魚則を保護してあるから引取りに来るやうにと言つてきた。
……
失踪当日の日曜日にホボーケンで彼女を見た人はないか? もし警察へ告げてかかり合いになることを恐れている人があるならば、新聞社へ手紙を送って貰いたい」
その記事は社会面に三段抜きで「河内園長の奇怪な
失踪・動物園内に遺留された帽子と上衣」といったような標題がついていたように思う。
人騒がせな博士の
失踪は、精神錯乱の結果でもなく、況んや海を越えて和平勧告に行ったものでもなかった。
「半之丞が
失踪いたして、今日で何ヶ年に相成るかの」
それは彼の雇人が
失踪する日には、必ず強い西風が吹くというのである、だから雇人たちは、西風を極度に恐れた。
と云うのは、はじめ座員に離反されて、
失踪して以来、かれこれもう、二ヵ月にもなるのだが、それにも拘らず、生死の消息さえ一向に聴かない風間九十郎のことである。