奇異なる二重の天秤の盤の上に、見えざる「影」の犯した悪行と、未行はれずして止んだ善行とを量つてゐるのである。
それに三角形の現わす
奇異な感情は、円とか五角形とかのあらわすところとは余程趣きを異にしていて、如何にも我が意を得たる絶好の対象物だと思ったのでした。
僕はカメラを頸につるしたまま、次第に遠ざかりゆくその
奇異な車を飽かず見送った。
随分
奇異な先生ぶりではあったろうが、何も当面を錯過するのでは無く、寸暇の遊心を聖道に運んでいるのみであるから、咎めるべきにはならぬことだったろう。
独りになると、コスモはあの
奇異なる古い鏡のことを思い出した。
しかし、この
奇異な一団を見れば、誰しも、一場の陰惨な劇を、頭の中でまとめあげるのであろう。
まことに、そこ一帯の高原は、原野というものの精気と荒廃の気とが、一つの鬼形を凝りなしていて、世にもまさしく
奇異な一つに相違なかった。
そう思うよりほか、その
奇異な人影の動作を、どう想像することができましょう。
私がこの
奇異な世界に生れ出たことについては、そしてこの世界の中にあって今日まで生命を続けて来たことについては、私は明かに知っている。