縁板という縁板、柱という柱が、啜り泣くような声を発して、家体は
宙に浮かんでいるかと思われるほど揺れた。
ぴんと張り拡げられた薄墨いろの肉翅のまん中で、毛の胴は異様に蠢き、小鳥のやうな足は
宙を蹴る。
それから三日がかりで、彼女はようやく鬼仏洞の部屋割を、
宙で憶えてしまった。
聖護院の森だとか、糺の森などには、椎の実を拾う子供が、
宙にぶらさがっている死体を見て、驚くことが多かった。
実を付けた若楓の枝の下に池が在つて、底に透く陽光の水の
宙に篦鮒が、昨年孵つた一寸ばかりの子鮒を四つほど従へて鰭を休めてゐる。
彼は長押しに手をかけた儘、ぶらりと
宙へぶら下つた。
けれども
宙へ躍り上つたぎり、生憎大岩へとどかないうちに地びたへ落ちてしまつたとさ。
そこでは、なにもかも、ふしぎな、青い光につつまれているので、それはふかい海の底にいるというよりも、なにか
宙に浮いていて、上にも下にも青空をみているようでした。