私の見たのはそれだけであるが、外地の特務機関だとか憲兵だとか、芋のように首を斬り、毒薬を注
射して、無感動であった悪夢の時間があったはずだ。
私はそう思ったから担当の先生に談判して、念のため、私にも、亦、女房にも一千万単位ぐらいずつペニシリンを注
射してもらいたいと頼んだ。
医師に診てもらってモヒでも注
射してもらうとすぐ痛みがとまると思ったが、今は新聞小説を書いていて、一日一回ずつギリギリに送っているのである。
わたしたちが渋川から伊香保に着いたのは、晴れたり曇つたりするやうな日の午後で、時に薄い泄れ日が谷の窪地に
射して来たり、時に雷雨がやつて来たりした。
そして他の星にあたると、反
射してこっちへかえってくる。
氷も水に洗われた角には、きらりと電燈の光を反
射していた。
橋の上から見ると、川は亜鉛板のように、白く日を反
射して、時々、通りすぎる川蒸汽がその上に眩しい横波の鍍金をかけている。
鮮やかな緋の色が、三味線の皮にも、ひく人の手にも、七宝に花菱の紋が抉ってある、華奢な桐の見台にも、あたたかく反
射しているのである。
ここへは、しかし、日がまったく
射して来ないのではなかった。
このゴチツク風の建物の内部は、しかし、全然日光が
射して來ないのではなかつた。