だが、やがて雲は流れ
尽き、峯は胸から下界へ向けて虹をかけ渡していた。
すると、もう縛り上げる罪人の種が
尽きたとみえ、いちばん最後に手ぶらでミルク屋を出ようとした土工体の男は、入口に立ち塞がっているこの青年が邪魔になったとみえ、
甚三 お母、木津の藤兵衛の家じゃもう食物が
尽きたけに、来年の籾種にまで、手を付けたというぞ。
わが折竹孫七の六年ぶりの帰朝は、そろそろ、魔境、未踏地の材料も
尽きかけて心細くなっていた私にとり、じつに天来の助け舟のようなものであった。
「イヤ至極面白いんだ、何かの話の具合で我々の人生観を話すことになってね、まア聴いて居給え名論卓説、滾々として
尽きずだから」
彼はとうとう根気も
尽き、西洋風の梯子を下りようとした。
敗れて地に塗れた者は、
尽きざる恨みを残して、長しなえに有情の人を泣かしめる。