山姥、
山男、或いは天狗というが如きは、それが伝説化されたものにほかならぬ。
いつの頃からか追貝に風の如くに現われて住みついた
山男があった。
ほんとうの
山男、人間そのもので煩悩邪悪の色は、一点も染まっていない。
「お前のような
山男が苦しがるほどの坂道をどうして私が歩けるものか、考えてごらんよ」
見物の群集はこれに先を追はれて、
山男を一人残いた儘、見る見る四方へ遠のいてしまうた。
見世物には猿芝居、山雀の曲芸、ろくろ首、
山男、地獄極楽のからくりなどという、もうこの頃ではたんと見られないものが軒を列べて出ていました。