そのなかで、そのひとが
差し入れ人の名を聞かずとも、すぐに分る
差し入れ弁当があった。
左手に右の衣袖を収めて、紅蓮をふく火中深くその逞しい片腕を
差し入れた。
肌へ着けたりとて油断ならずと懐中へ手を
差し入れて彼の胴巻を探るに、悲しやある事なし。
彼は前にも幾度かそうして見たのであったが、もう一度機械的に黒繻子の襟を引き開け、奇蹟にでも縋るようにぐっと胸へ手を
差し入れた。
彼女は、こんなこともあろうかと、かねてホテルのボーイに手を廻して買っておいた紹介者つきの入場券を、改札口と書いてある蜜蜂の巣箱の出入口のような穴へ
差し入れた。