一たび夜の
帷が下されると、広小路は名代の夜店の街とかはる。
草いろの
帷のかげに灯ともしてなみだする子よ何をおもへる
擽るような五月の軟風が咽せかえるばかりの草いきれを孕んで来て、かるく、白木綿の窓
帷を動かしていた。
なんでも幅広な、奥深い
帷に囲まれて、平凡な実世界の接触を免かれて、さういふところでは一種特別な生活が行はれてゐるのではあるまいかと思ふ。
講
帷の舊物、卷帙空しく存し、蒿里の新歌、幽明長へに隔たりぬ、嗚呼哀哉。
壁紙の剥げかかつた部屋の隅には、毛布のはみ出した籐の寝台が、埃臭さうな
帷を垂らしてゐた。