保吉は大佐よりも一足あとに薄暗い
廊下を歩みながら、思わず「おや」と云う声を出した。
が、暗い
廊下をつき当ると、驚いた事にはこの夜更けにも、まだ火影のさしているばかりか、話し声のする小座敷があります。
廊下を抜けた茶の間にはいつか古い長火鉢の前に昼飯の支度も出来上っていた。
前田家は、幕府の制度によると、五世、加賀守綱紀以来、大
廊下詰で、席次は、世々尾紀水三家の次を占めている。
自分たち三年級の生徒たちは、新しい教師を迎えると云う好奇心に圧迫されて、
廊下に先生の靴音が響いた時から、いつになくひっそりと授業の始まるのを待ちうけていた。
自分はこれを書いてゐる今でも、君の悠然とした歩き方を思ひ出すと、もう一度君と大学の
廊下に立つて、平凡な時候の挨拶でも交換したいやうな気がしないでもない。
医者は彼の先に立ちながら、
廊下伝ひに或部屋へ行つた。
偶然と云ふのは燈籠時分の或夜、玉屋の二階で、津藤が厠へ行つた帰りしなに何気なく
廊下を通ると、欄干にもたれながら、月を見てゐる男があつた。
家督を継いだ長男は、従兄妹同志の新妻と、
廊下続きになつてゐる、手狭い離れに住んでゐた。
あの事務室の
廊下に面した、ガラス障子をはずして、中へ図書室の細長い机と、講堂にあるベンチとを持ちこんで、それに三人で尻をすえたのである。