夜になると淫売に出て行くらしい話であつたが、元々歌舞伎の下ッ端の頃から幇間なみにお座敷へでて遊客の玩
弄物に育つてきた。
日あたりの納戸に据えた枕蚊帳の蒼き中に、昼の蛍の光なく、すやすやと寐入っているが、可愛らしさは四辺にこぼれた、畳も、縁も、手遊、玩
弄物。
美妙斎や紅葉の書斎のゴタクサ書籍を積重ねた中に変梃な画や翫
弄物を列べたと反して、余りに簡単過ぎていた。
しほらしさは、むろん女の強さともなるものであるが、ひとたび方向を間違ふと、たゞ消極的な男性の玩
弄物たるに甘んじるひとつの風情に過ぎないのである。
「薬学者連中が毒瓦斯にやられるなんて、ちょっと妙な話じゃね」博士は、毒舌を
弄するというのでもなく、これだけのことをスラスラと言ってのけた。
根も葉もない幻想の翫
弄物になつて腐り果てる自分ではないか。
さっき吹矢はそういう電話をかけていたが、これで見ると彼は、熊本博士に対しまた威嚇手段を
弄しているものらしい。
同氏のほかの短歌や詩は、恋だとか、何だとかをヒネくって、技巧を
弄し、吾々は一体虫が好かんものである。
彼等は、管絃を奏づる公子を見、詩歌を
弄べる王孫を見、長紳を※ける月卿を見、大冠を頂ける雲客を見たり。