それでもここへ来て見
たら、急にまたこの部屋が嫌になったんですもの。
方々の工場で鳴らす汽笛の音が、鼠色の水蒸気をふるわせ
たら、それが皆霧雨になって、降って来はしないかとも思われる。
内供は、震旦の話の序に蜀漢の劉玄徳の耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だっ
たら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
恐らく未完成の作をも加え
たら、この集に入れたものの二倍には、上っていた事であろう。
それから又、二三頁ノオトをよごし
たらやつと時間の鐘が鳴つた。
では、現代に於ける思想家の急務として、この堕落を救済する途を講ずるのには、どうし
たらいいのであらうか。
其処へ雛でも売つ
たらと父へ勧めてくれましたのは丸佐と云ふ骨董屋の、……もう故人になりましたが、禿げ頭の主人でございます。
その代わり実業家になるとか、工学士になるとか言っ
たらかえって反対されたかもしれません。