が、
彗星なら、天文学者が既に何年目に見えると悟っているが、御連中になると、そうはゆかない。
天才てものは何時ドコから現われて来るか解らんもんで、まるで
彗星のようなもんですナ……」
七 不意に現われる怪星の中で最も人のよく知っているは
彗星であるが、
彗星はもはや珍しく無い。
思うに、人事において流行や廃りのある如く、自然においても旧式のものと新式のものが自らある、空中飛行機に駭く心は、やがて
彗星を異しむ心と同一であると云えよう。
二等運転士佐伯、怪星を前方に発見す、太陽系遊星にあらず、
彗星にあらず、軌道法則にしたがわずふしんなり。
人生のいかに紛糾せるにも拘らず、金星は飛んで地球の上に堕ちざるなり、
彗星は駆けつて太陽の光りを争はざるなり。