二月に近い
往来は売出しの旗などの残っていたものの、どこの町全体も冬枯れていた。
僕は彼を引きずるようにし、粉雪のふる
往来へ出ることにした。
見上げると、高い石の橋欄には、蔦蘿が半ば這いかかって、時々その間を通りすぎる
往来の人の白衣の裾が、鮮かな入日に照らされながら、悠々と風に吹かれて行く。
もっとも自分とは、互に
往来はしていながら、さして親しいと云う間柄でもなかった。
従つて何処を歩いてみても、日本橋や京橋のやうに大商店の並んだ
往来などはなかつた。
俊吉はすべてに無頓着なのか、不相変気の利いた冗談ばかり投げつけながら、目まぐるしい
往来の人通りの中を、大股にゆつくり歩いて行つた。
若し違つてゐるとすれば、芝居の喧嘩は僕の上へ危険を齎さないにも関らず、
往来の喧嘩はいつ何時危険を齎らすかもわからないことである。
——彼の眼の中にはかう云ふ疑問が、何度も人懐しい微笑と共に
往来するやうであつた。