どの道、巌の奥殿の扉を開くわけには行かないのだから、偏に観世音を
念じて、彼処の面影を偲べばよかろう。
美術館の問題は、先日来、朝日紙上で矢代幸雄氏が論じてをられたが、その反響が多少でもあつてくれればいいと、私なども蔭ながら
念じてゐる次第である。
要するに、国家の恩典について専ら考慮をめぐらすべき地位にあるのは、ひとり政治家のみであつてほしいと、真面目な民衆は心に
念じてゐるであらう。
母は、自分が老衰のために死の近づいたのを報じて、彼が一日も早く仇を討って帰参することを、朝夕
念じていると書いていた。
僕は前に味をしめていたから、もう一度見たいと
念じて見た。
わが眼より見れば、尊げに「さんた・まりあ」などと
念じ玉う、伴天連の数は多けれど、悪魔「るしへる」ほどの議論者は、一人もあるまじく存ずるなり。
彼女はもう強がってはいられなくなって、数珠をかけた手をそっとあわせて、口のうちでお題目を一心に
念じながら歩いて来たのであった。
この事ばかり懸命に
念じ主水は益々馬側をしめ付け乗っ立って走らせるのであった。
私はその魂をいやが上にも清らかに曇りなくしたいと
念じたのです。
クララはとんぼがえりを打って落ちながら一心不乱に聖母を
念じた。