怒濤をくぐつて舟を漕ぎ出すとき、舟は小山のやうな浪の中に時々かくれて又現はれる、漕手は恐れげもなく愉しさうに漕いでだんだん遠く出て行く景。
船は小さくて
怒濤に呑まれんばかりに揺れるし、犬や豚のように船底に積み重ねられた男女三十余名の密航団は、船員達に踏んづけられ虫の息である。
『華々しき一族』の系列の作品と、『
怒濤』『女の一生』のやうな作品のちがひについて言はれますけれども、彼は一応矛盾する二つの素質を持つてゐたやうです。
またあるときは、ひくい暗雲の下に、帆柱のうえにまでとどく荒れ狂う
怒濤をかぶりながら、もみくちゃになってただようこともあった。
長竿を揮って、
怒濤の巌上に立つ気持というものは恐らく太古の感情そのままである。
故に人類とし又國民として世界に雄飛せんとする者は、必す先つ此包圍を破りて激浪
怒濤の間に縱横奔馳するの元氣無かる可らす。
危礁亂立、
怒濤澎湃の間、舟底を叩き、鰺數尾を投ずれば、出たりや出たり、數尺の大鯛、群りあひて溌溂として食を爭ふ。
巉巖
怒濤の間に泳ぐを見るが面白かるべしとは、子供の心を知らぬ親馬鹿の料簡、まだ水泳を知らぬ二兒は、さばかり面白がりもせず。