いずれにしても、それがこの頃のわたしを
悩ますことは一通りでない。
人を
悩ますといえども、いずれもその形見えざれば、人狐といえば人狐なり、河太郎といえば河太郎なり、猿神といえば猿神なり。
悩まざるがゆえの、救はれない毒々しさが、私を
悩ますのであつた。
彼の「花」の観念の曖昧さに就いて頭を
悩ます現代の美学者の方が、化かされてゐるに過ぎない」(当麻)
言ひ換へれば、故らに好意ある観客を
悩ますやうな「公演」を敢てする必要がどこにあるかといふのである。
これはキュレルが、思想家としての偉大さに反して、劇作家としては、屡々好意ある批評家を
悩ます原因を作り出すのである。
娑婆界の苦労は御降りの今日も、遠慮なく私を
悩ますのである。