私の
愛慾生活の宿命とあまのぢやく的性格に就て語る時には言外の暗示によつて私の理会に俟たうとする用心深い眼付をみせたやうでした。
どんな兇悪な犯罪でも、たゞれた
愛慾でも、我々がもし良く考える心をもつなら必ず自分の心にも同じ犯罪者の血を見出す筈で、いかなる神の子といえども変りはない。
男女の心情の交換や、愛憎が自由であり、
愛慾がその本能から情操へ高められて遊ばれ、生活されてゐた。
自我に徹した沈靜な魂の前に底ひもわかぬ
愛慾の世界が開展する。
一口に愛していたと申しましても、わたくしは、肉体的な
愛慾とか、あるいはまた尋常一と通りの精神的な愛情、そのような通り一遍の気持で愛していたのではございません。