で、その幽魂が果して
成仏したかどうか知らぬが、その後は何の不思議もなく、妹も旧の如くその邸へ戻って夫婦睦じく暮したという。
「イエ、ありがたい経文を唱え、引導をわたして食べますから、
成仏ができてありがたいと云って鳥獣がオナカの中で手をついて礼をのべております」
善人であらうが、悪人であらうが、一切衆生の
成仏を……その大願をたてられた仏の慈悲、即ち、それは母の慈愛であります。
そこで和尚は回向を始めるのであるが、回向のうちに、老婆はありし日の青春の夢を追い、ありし日の姿を追うて恍惚と踊り狂い、
成仏する、という筋なのである。
——それが、まだ一番鶏も鳴かないのに、こっそり床をぬけ出して、酒臭い唇に、一切衆生皆
成仏道の妙経を読誦しようとするのである。
頭と腹の部分とを食い残し、背肉ばかりを食うようなのは言語道断で、せっかくの鮎も到底
成仏しきれない。