負けた金を払ふとき札をとりだして一枚一枚皺をのばして
手放しかねてゐるのであつた。
いづれも樺太産の優秀な種狐であるが、場主の星住省吾は、これさへ適当な買ひ手があれば、
手放してもよいと考へてゐる。
だから、欧洲で蒐集した多くの画はだんだん売って売り尽しに近くなったが、この一枚だけは
手放さなかったのだ。
「みっともねえ、
手放しでそんなにおいおいと泣いたってしようがねえじゃねえか。
たいがいの腕白ども——否、一人残らず彼らは
手放しなんかで巧みに渡った。
そのとき、のぶ子は、お人形の着物をきかえさせて、遊んでいましたが、それを
手放して、すぐにお母さまのそばへやってきました。
しかし雛を
手放しさへすれば、この大歳の凌ぎだけはつけられるのに違ひございませんから、母も苦しい父の手前、さうは強いことばかりも申されなかつたのでございませう。