食堂の主婦の姉の子だが、主婦なる女人が天下に稀なお天気屋で、朝は娘を甘やかし、夜は娘を
打擲するめまぐるしい変転ぶり。
御法度にも拘らず重ね/\不届きな次第といふので下知して暇乞の連中を
打擲させたが、打たれると却つて悦ぶ始末で手がつけられない。
戦国時代の武将が主君自らの心安立ての
打擲なら、或は辛抱するかも知れないが、小姓などを使って殴られて、寸時も辛抱するわけはないと思う。
彼は、ゴルゴタへひかれて行くクリストが、彼の家の戸口に立止って、暫く息を入れようとした時、無情にも罵詈を浴せかけた上で、散々
打擲を加えさえした。