これだけでオタチアイのドギモは存分に
抜かれているのだが、その次ある事が余人の及ばぬ荒芸なのである。
よしや一斗の「モルヒ子」に死なぬ例ありとも月夜に釜を
抜かれぬ工風を廻らし得べしとも、当世小説の功徳を授かり少しも其利益を蒙らぬ事曾て有るべしや。
勿論、根を
抜かれた、肥料になる、青々と粉を吹いたそら豆の芽生に交って、紫雲英もちらほら見えたけれども。
お君の夫がこの工場から
抜かれて行ってから、工場主は恐いものがいなくなったので、勝手なことを職工達に押しつけようとしていた。
大工はこんどこそほんとうに度肝を
抜かれて、ただもう目ばかりきょろきょろさせていました。
眼を
抜かれても、髭を
抜かれても猫は生きているにちがいない。
その巌丈な石の壁は豪雨のたびごとに汎濫する溪の水を支えとめるためで、その壁に刳り
抜かれた溪ぎわへの一つの出口がまた牢門そっくりなのであった。
僕の所業を知った父は「せっかくの蘭を
抜かれた」と何度も母にこぼしていた。