「鑑識課で検査してもらいましたが、
指紋は一つも発見されぬそうです。
あの時、ずらかる前に、うっかり残した
指紋が、奴の致命的な落度となったわけだ。
(そうして、それが
指紋によって、はっきり証拠立てられた事は、既に読者諸君の知られる通りである。
捕物帖には
指紋や科学的な鑑識は現れないが、推理やトリックの手法はドイルで、ドイルは捕物帖の祖であり、推理小説よりも捕物帖的である。
彼女、もしくは彼が残しているのは、薪割りの
指紋だけだそうである。
泥の附着も地面に接した部分にだけで、それも極めて自然であり、堂内には格闘の形跡は愚か、
指紋は勿論その他の如何なる痕跡も残されていないのだ。