されば東京の水を談らんには隅田川を
挙げて語らんこそ実に便宜多からめ。
乞食は鬚だらけの顔を
挙げて太郎さんをジロジロ見ましたが、やがてニヤリと笑って、
もう検屍も済んだと見えて、警察の一行は引
挙げて了い、只五六人の菜ッ葉服が、屍体に噛り付いて泣いている細君らしい女の姿を、惨ましそうに覗き込んでいた。
女は針の手をやめると、もの憂そうに顔を
挙げて見せた。
ちょっと一例を
挙げて見ましょうか? 県会議員の長男は銀行か何かへ出ているのよ。
予は二三不審の廉を
挙げて著者其人に質問せんと欲す。
私の脛へひやりととまったり、両脚を
挙げて腋の下を掻くような模ねをしたり手を摩りあわせたり、かと思うと弱よわしく飛び立っては絡み合ったりするのである。
而して予が否と答ふるや、彼女は左手を垂れて左の趾を握り、右手を
挙げて均衡を保ちつつ、隻脚にて立つ事、是を久うしたりき。
が、「文章倶楽部」の問に応じた諸家は誰も「死者生者」を
挙げてゐなかつたらしい。
ふと産婦の握力がゆるんだのを感じて私は顔を
挙げて見た。