巴里に行った人で一度はレストラン・エスカルゴの扉を
排しないものはないであろう。
書斎に籠っていても春は分明に人の心の扉を
排いて入込むほどになった。
赤煉瓦の小さな板木師の家で、人相見の看板も何も出てゐない横の格子戸を
排けて、残花が数寄屋橋教会の誰それからの紹介で上つたといふと直ぐ慇懃に二階に通された。
此時は、芸兵入京し、長兵も亦入京していたので、慕府及びその一統が、憤慨して手を出せば、やっつけてやろうと云う肚が
排幕派にあったのである。
排悶の為めに精神を引立てる書を選んで読むものが多い。
大喝迷霧を
排ふは吾人の願ふ所にあらず、一点の導火となりて世の識者を動かさん事こそ、吾人が切に自ら任むところなれ。
凄じい地響をさせて突進して來た列車が停ると、信吾は手づから二等室の扉を
排けて身輕に降り立つた。
予は唯、竜動に在るの日、予が所謂薔薇色の未来の中に、来る可き予等の結婚生活を夢想し、以て僅に悶々の情を
排せしを語れば足る。
凄じい地響をさせて突進して来た列車が停ると、信吾は手づから二等室の扉を
排けて、身軽に降り立つた。