行くみちみちで沿岸の家畜どもを喰ひ荒し、時々休息し、さうして又水路を
掘る。
掘るのは三日で終つたが、コンクリの仕事が長くかかり、それがすつかり出来ると、消防署の自動車が水を運びお池が出来あがつた。
そして蝸牛の需要は秋から冬にかけてであるため、その頃になると蝸牛は土の中にもぐってしまうから、養殖者は丁度芋を
掘るように木の棒で掘り出さなければならない。
蛇を追払って、山芋を
掘ると云うことなどは、彼には想像も出来ない。
真夏になっても消え残っている広さ数十町歩、深さ幾丈だか分らないような大雪渓を
掘るという事は想像以上の難事業で、到底人間業では出来ることではないのだ。
そこは下鴨神社のすぐ側で、高野川の河水が絶えず滲透してゐる低地なので、少し土を
掘ると恐らくかうした清泉が自然に迸り出てゐたのであらう。