小草が数本に、その一本を伝わって倒に這降りる蟻に、去年の枯草のこれが筐とも見える芥一
摘みほど——これが其時の眼中の小天地さ。
大王深山にして嶺の木の子をひろひ、沢の若菜を
摘みて行ひ給ひける程に、一人の梵士出で来て、大王のかくて行ひ給ふこと希代のことなり。
お君は左の手のひらにひと掴みの米をのせて来て、右の指さきで一粒ずつ
摘みながら箱の穴のなかへ丁寧におとしてやると、青い蛇の頭が又あらわれた。
「変だ」と同じことを呟きながら、なおも主税は独楽を見詰めていたが、また心棒を指で
摘み、力を罩めて強く捻った。
店番の少年は、すばやく豆の山の中から、銀貨を
摘みあげて、口の中に放りこむと、一袋の南京豆を三千子の手に渡した。
彼は苦が笑いをして暫く私の顔を見詰めていたが、やがて乱雑に書籍や書類の散らばっている机の上から、小さい三角形の紙片を
摘みあげると、私の前に差出した。
摘み集めながらうたう歌がおもしろいので、燕たちもうたいつれながら葡萄
摘みの袖の下だの頭巾の上だのを飛びかけって遊びました。
かれは意にもなく手近の小枝を折り、真紅の葉一つを
摘みて流れに落とせば、早瀬これを浮かべて流れゆくをかれは静かにながめて次の橋の陰に隠るるを待つらんごとし。