彼は何所へ行っても、すぐれた人格者として愛慕されたのであるが、たまたま咽喉を病み、演説や説教を医師から厳禁されたので、止むなく永久に教職を
擲つこととなった。
皆一身を此事業に
擲つて悔なきの決心を有し、両親親戚の勧告に耳を藉さず、世人の批評に頓着なき男まさりの徒である。
一種の生死観によつて、身命を潔く
擲つことができ、悲みに堪へる訓練ができてゐる。
それを怠つてゐたのでは、いくら
擲つても爆發するはずがない。
生ける犬を屠りて鮮血を啜ること、美しく咲ける花を蹂躙すること、玲瓏たる月に向うて馬糞を
擲つことの如きは、言はずして知るベきのみ。