それから向うに何か見つけ、その
方へ一散に走って行く。
野口という大学教授は、青黒い松花を頬張ったなり、蔑むような笑い
方をした。
夜半、月の光が一川の蘆と柳とに溢れた時、川の水と微風とは静に囁き交しながら、橋の下の尾生の死骸を、やさしく海の
方へ運んで行った。
その明いたのに気がついた時、無意識にあの別荘番を予期していた私は、折よく先刻書いて置いた端書の投函を頼もうと思って、何気なくその
方を一瞥した。
「今度飛鳥の大臣様の御姫様が御二
方、どうやら鬼神のたぐいにでもさらわれたと見えて、一晩の中に御行
方が知れなくなった。
赤蛙としてもずゐぶん大きい
方にちがひない、ヒキガヘルの小ぶりなのぐらゐはあつた。
自分はこれを書いてゐる今でも、君の悠然とした歩き
方を思ひ出すと、もう一度君と大学の廊下に立つて、平凡な時候の挨拶でも交換したいやうな気がしないでもない。
それから何故か思ひついたやうに、白い襟飾へ手をやつて見て、又菊の中を忙しく玄関の
方へ下りて行つた。
先生は、警抜な一章を読み了る毎に、黄いろい布表紙の本を、膝の上へ置いて、ヴエランダに吊してある岐阜提灯の
方を、漫然と一瞥する。
或日「ろおれんぞ」を召されて、白ひげを噛みながら、「その
方、傘張の娘と兎角の噂ある由を聞いたが、よもやまことではあるまい。