僕は又この頃思い出したように
時時句作を試みている。
さやうにして、気分も違ひ、意気込みも違ふに従つてその
時時の字を書いた。
何処か寂しい町の古道具屋の店に、たつた一幅売り残された、九霞山樵の水墨山水——僕は
時時退屈すると弥勒の出世でも待つもののやうに、こんな空想にさへ耽る事がある。
あの皸だらけの頬は愈、赤くなつて、
時時鼻洟をすすりこむ音が、小さな息の切れる聲と一しよに、せはしなく耳へはひつて來る。
其重苦しい沈默の中に、何か怖しい思慮が不意に閃く樣に、此のトッ端の倒りかゝつた家から、
時時パッと火花が往還に散る。