ちょいと吹留むと、今は寂寞として、その声が止まって、ぼッと腰障子へ
暖う春の日は当るが、軒を伝う猫も居らず、雀の影もささぬ。
それがまた自らな円みを
暖く抱いて、眼のとどかない上の方から、眼の先の寝床の上まで、大きな鍾乳石のように垂れ下っている。
牛馬の遊んでいる草原は一面に仄かな緑をなすって、その裾を流れて行く天の安河の水の光も、いつか何となく人懐しい
暖みを湛えているようであった。
慈悲深い男は、家外の寒さを思い遣り乍ら室内のストーヴの火に
暖を採り、椅子にふかふかと身を埋めて静に読書して居りました。
僕は電車の走つて行つた後もこの耳の根に残つた垢に何か
暖さを感じてゐた。
やゝ大粒に見えるのを、もし掌にうけたら、冷く、そして、ぼつと
暖に消えたであらう。