が、
暗い廊下をつき当ると、驚いた事にはこの夜更けにも、まだ火影のさしているばかりか、話し声のする小座敷があります。
が、幸い父の賢造は、夏外套をひっかけたまま、うす
暗い梯子の上り口へ胸まで覗かせているだけだった。
尾生は険しく眉をひそめながら、橋の下のうす
暗い洲を、いよいよ足早に歩き始めた。
私の世話を焼いてくれる別荘番の夫婦者は、格別用のない限り、いつも勝手に下っていたから、このうす
暗い八畳の間は大抵森閑として人気がなかった。
私は椅子に腰かけてから、うす
暗い石油ランプの光に照された、陰気な部屋の中を見廻しました。
うす
暗い中に、その歩衝と屏風との金が一重、燻しをかけたように、重々しく夕闇を破っている。
部屋の中にともした、うす
暗い灯の光で、虱は小さな背中を銀の粉のように光らせながら、隣に寝ている細君の肩を目がけて、もずもず這って行くらしい。
外を覗くと、うす
暗いプラツトフオオムにも、今日は珍しく見送りの人影さへ跡を絶つて、唯、檻に入れられた小犬が一匹、時々悲しさうに、吠え立ててゐた。
自分は幾度となく、霧の多い十一月の夜に、
暗い水の空を寒むそうに鳴く、千鳥の声を聞いた。