危険と書いた道路の建札と同じぐらゐ大きな
書体で、親展と朱肉で捺してあるのである。
(舅の友人に前田黙鳳といふ先生があつて、その古朴正厳な覇気横溢の
書体にも私は深く感銘を得たことを憶えてゐる。
余もこの経を拝見せしに、その
書体楷法正しく、行法また精妙にして——
しかし又句がらや
書体から見れば、夏目先生の贋せものを作る為に書いたのではないことも確かである。
自分はその
書体を見ると、何故か両国の橋の袂へ店を出してゐる甘酒屋の赤い荷を思ひ出した。
日附は書いてないが墨色も
書体も一様でないところを見ると、一時に書いたものでないことが明らかで、間々聯絡がついている。