茶店に休んで、青竹の欄干に凭りながら、紺地に金泥で唐詩を摺った扇子で、海からの風の他に懐中へ風を扇ぎ入れるのは、
月代の痕の青い、色の白い、若殿風。
初めは稗蒔の稗の、
月代のやうに素直に細く伸びた葉尖を、フツ/\と吹いたり、※たけた顔を斜めにして、金魚鉢の金魚の目を、左から、又右の方から視めたり。
だが、そろそろとその青かった
月代が、胡麻黒く伸びかかって来ると、やはりよくない。
——大兵肥満で、容貌の醜かつた津藤は、五分
月代に銀鎖の懸守と云ふ姿で、平素は好んでめくら縞の着物に白木の三尺をしめてゐたと云ふ男である。