之によつて見ても、若し侠客の
本領は此の殺伐の点にのみ存する様に見るならば夫れは大なる間違ひである。
引裂くなどという景気は旅費の懐都合もあり、元来、翁の
本領ではないらしい……それから、
モーゼスの
本領は自動書記であるが、しかし彼は、稀に見る多方面の霊媒であった。
して対わきは、其から出来たのであるが、能楽の
本領は、其わき方にある。
それぞれ、その
本領を発揮すればよいのであつて、その一つを失ふも、日本の劇壇に取つては惜むべきことである。
そして、その
本領たるモーラル・センスの批判が最も清澄な表現に達し、一脈の詩味をさへ湛へて、渾然たる芸術的完成を示してゐる。
たゞ、文学者は、その心掛けを文に綴るを以て
本領となすのであると。
鴎外漁史は曾つてS・S・S・社を代表して「しがらみ艸紙」の
本領を論ぜしことあり。
此書や先生の人物思想、
本領を併せ得て十二分に活躍せしめて居るのみならず、寸鉄人を殺すの警句、冷罵、骨を刺すの妙語、紙上に相踵ぎ、殆ど応接に遑まあらぬのである。