よく晴れた日でした、高く澄み上つた空の下に、
枯草の道がながく続いて居ました。
小草が数本に、その一本を伝わって倒に這降りる蟻に、去年の
枯草のこれが筐とも見える芥一摘みほど——これが其時の眼中の小天地さ。
余りの不思議さに自分は様子を見てやる気になって、兎ある小蔭に
枯草を敷て這いつくばい、書を見ながら、折々頭を挙げて彼の男を覗って居た。
仕事をしない日は散歩をしたり美しい
枯草の丘で日なたぼっこをしたり、ストーブに薪を焚いて話しこんだり、まったく長閑な月日を送ったものでした。
しかし汽車はその時分には、もう安々と隧道を辷りぬけて、
枯草の山と山との間に挾まれた、或貧しい町はづれの踏切りに通りかかつてゐた。
しかし汽車はその時分には、もう安々と隧道を辷りぬけて、
枯草の山と山との間に挟まれた、或貧しい町はずれの踏切りに通りかかっていた。
そのせゐか秋の木の間の路は、まだ夕暮が来ない内に、砂も、石も、
枯草も、しつとりと濡れてゐるらしい。
屋根瓦のうえに茎ばかりの
枯草が風に向って顫えているのは、ちょうどこの老屋が主を更えなければならない原因を説明するようである。
しかし汽車はその時分には、もう安安と隧道を辷りぬけて、
枯草の山と山との間に挾まれた、或貧しい町はづれの踏切りに通りかかつてゐた。