さうして幽霊への本能的な恐怖を
柔げるよりほかに方法がないといふことである。
梅花は予に伊勢物語の歌より春信の画に至る
柔媚の情を想起せしむることなきにあらず。
柔な布が音を立てて裂けると、雪のやうに白い羽毛が中から雲の如く飛び立つた。
女は年のころ十七、八で翠袖紅裙の衣を着て、いかにも
柔婉な姿で、西をさして徐かに過ぎ去った。
渡左衛門尉と云う名は、今度の事に就いて知ったのだが、男にしては
柔しすぎる、色の白い顔を見覚えたのは、いつの事だかわからない。
色のまっ黒な、眼の大きい、
柔な口髭のあるミスラ君は、テエブルの上にある石油ランプの心を撚りながら、元気よく私に挨拶しました。
したがって、ここで何とも説明することは不可能であるが、早く云えば円朝の話し口は、
柔かな、しんみりとした、いわゆる「締めてかかる」と云うたぐいであった。
棕梠花のにおいと、入江の
柔かな鹹風とがまじった、リオの秋をふく薫風の快よさ。
寝床の上で独り耳を澄まして、彼は
柔かな雨の音に聞き入った。
其の四ツの端を
柔かに結んだ中から、大輪の杜若の花の覗くも風情で、緋牡丹も、白百合も、透きつる色を競うて映る。