わたしは昔の元園町がありありと眼の先に泛かんで、年ごとに
栄えてゆく此の町がだんだんに詰まらなくなって行くようにも感じた。
その中でも祇園町が最も
栄えて、柳町はいたずらに格式を誇るばかりの寂しい姿になった。
さしもに
栄えた平安朝時代も、今では末の末の代になって、なんとはなしに世の乱れという怖れが諸人の胸に芽を吹いてきた。
一人のシェークスピアが
栄えた背後に、幾人の群小戯曲家が、無価値な、滅ぶるにきまっている戯曲を、書き続けたことだろう。
実は、この甲野八十助は探偵小説家に籍を置いてはいるものの、一向に
栄えない万年新進作家だった。
やはり
栄えた筆頭は芸者に止めをさすのかと呟いた途端に、私は今宮の十銭芸者の話を聯想したが、同時にその話を教えてくれた「ダイス」のマダムのことも想い出された。
どうも日本人の貧弱な顔ぢや毛皮の外套の襟へ頤を埋めても埋め
栄えはしないやうな気がする。
さて、明治の御代もいや
栄えて、あの時分はおもしろかったなどと、学校時代の事を語り合う事のできる紳士がたくさんできました。