その人達が命を
棄てた曠野に於て掴んだ実感であるにしても、それによつて「これが戦争だ」と断言するには、人の心は又余りに複雑でもある筈だ。
脱ぎ
棄てた、浴衣、襯衣、上衣など、ちらちらと渚に似て、黒く深く、背後の山まで凹になったのは本堂であろう。
「産る」の敬語だと其意味を釈き
棄てたのは、古学者の不念であつた。
恰度俳句や和歌の「法則」のやうなもので、それを破ることが別に手柄にならず、この法則に従はないといふことは、即ち和歌なり俳句なりを
棄てたといふことである。
「竹ン尖で圧えつけてハイ、山の根っこさ藪の中へ
棄てたでごぜえます。
重い重い不安と心痛が、火光を蔽ひ、門を鎖し、人の喉を締めて、村は宛然幾十年前に人間の住み
棄てた、廃郷かの様に※乎としてゐる。
世、兆民居士を
棄てたるか、兆民居士、世を
棄てたるか、抑も亦た仏国思想は遂に其の根基を我邦土の上に打建つるに及ばざるか。
で干潮の時は見るも哀で、宛然洪水のあとの如く、何時
棄てた世帶道具やら、缺擂鉢が黒く沈むで、蓬のやうな水草は波の隨意靡いて居る。
重い/\不安と心痛が、火光を蔽ひ、門を鎖し、人の喉を締めて、村は宛然幾十年前に人間の住み
棄てた、廢郷かの樣に闃乎としてゐる。