私は、渡
欧の船中、印度洋で眺めた南十字星の美しさは、いつまでも忘れ難い。
だから、
欧洲で蒐集した多くの画はだんだん売って売り尽しに近くなったが、この一枚だけは手放さなかったのだ。
君も知っている通り、千枝子の夫は
欧洲戦役中、地中海方面へ派遣された「A——」の乗組将校だった。
それ以来、十八世紀の初期に至るまで、彼が南北両
欧に亘って、姿を現したと云う記録は、甚だ多い。
それは夜の九時過ぎまでも明るい
欧洲の夏の夕暮に似ていると、かの女はあたりを珍しがりながら、見廻している。
「これが、天正遣
欧使の一人——千々石清左衛門直員から始まっている、降矢木家の紋章なんだよ。
さう云ふ先生の事であるから、今読んでゐる本が、
欧洲近代の戯曲及俳優を論じた物であるにしても、別に不思議がる所はない。
欧洲の評壇また今に保守の論を唱ふる者無きにあらず。
丁度Tさんの友人で甚だローマンチックな画家が渡
欧するので、君、何も土産はいらない。