今この農場へ行つてみましても小作人の家屋はその最初と同じ掘立小屋なのであつて牛一頭も
殖えてゐないのであります。
同時に塵埃が
殖えて、少し風が吹くと、書斎の机の上が忽ちザラ/\する。
今や狭い地球上——ことにこの狭い日本では、碌でもない人間が
殖え過ぎて甚だ困っている。
今度の役にしても、肝煎りの吉良に例の付届をせずばなるまいが、これも年々額が
殖えていくらしい」
元来軍艦は碇泊したが最後、鼠の
殖えなかったと云うためしはない。
さなきだに物騒の場所に、悪い噂が又ひとつ
殖えて、気の弱い通行人をおびやかした。
敵はだんだんに
殖えて来るばかりで、中には屋根に昇って瓦を投げる者がある。
太平の夢を破られた江戸市中には、武芸をこころざす者が俄かに
殖えた。
黒棚や簾も新たになり、召使ひの数も
殖えたのだつた。