地獄の騒音の底で古沼の
沈澱を探りたいなぞと勿体ぶつた言ひ草もくだらない独りよがりで、見掛倒しの痴川は始終古沼の底で足掻きのとれない憂鬱を舐めてゐた。
その早暁、まだ明けやらぬ上海の市街は、豆スープのように黄色く濁った濃霧の中に
沈澱していた。
そして爽かな夜気が冷え冷えと、濁って
沈澱した昼の空気を澄まして行った。
沈澱した砂は片栗粉のやうにぎつしりと堆積して雜草も生えて居なかつた。
その首都こそ世界の中央であり、世界の
沈澱物で高く積み上げられている。
いかにかれは零落するとも、都の巷に白馬を命として埃芥のように
沈澱してしまう人ではなかった。