あなたの二階の硝子窓おのずから明るくなれば、青簾の
波紋うつ朝風に虫籠ゆらぎて、思い出したるように啼出す蟋蟀の一声、いずれも凉し。
陽射しを受けた部屋の畳に、沖の
波紋が透明な模様を描きながら、終日ゆらゆらと揺らめいてゐるのです。
兵器廠設置の案はとにかくとして、士族の特権だった兵事の権を、その士族の手から奪いとろうとした国民皆兵主義の提案は、忽ち全国へ大きな
波紋を投げかけた。
あらゆる世相の
波紋は、あらゆる人間の「役不足」から生じてゐる。
第一はその人物の意外な反面を識り、第二にはその人物と周囲との関係に新たな
波紋を投げかけることになるからである。
見張りの交代もほど間近とみえ、魚油をともす篝の火が、つながり合いひろがり合う霧の中を、のろのろと、異様な
波紋を描きながら、上っていくのだった。
徳二郎は堤を下り、橋の下に繋いである小舟の纜を解いて、ひらりと乘ると今まで靜まりかへつて居た水面が俄に
波紋を起す。
徳二郎は堤をおり、橋の下につないである小舟のもやいを解いて、ひらりと乗ると、今まで静まりかえっていた水面がにわかに
波紋を起こす。