五十を越したであろう年輩の、蝋燭の
淡い灯によって前下方から照し出された瘠せ顔は、髑髏を思わせるように気味が悪かった。
と同時に、この私が、はかないながらも、
淡いながらも、ここに消極的の愉快を感じ得るに至ったのも、私自身の一幸福である。
一樹が立留まって、繁った樫の陰に、表町の
淡い燈にすかしながら、その「——干鯛かいらいし——……蛸とくあのくたら——」を言ったのである。
淡い甘さの澱粉質の匂ひに、松脂と蘭花を混ぜたやうな熱帯的な芳香が私の鼻をうつた。
だがこの
淡い臭気が、一たい何処から発散しているものか、それを突き止めた者は誰もなかった。
二人の友達が黙ってしまうと、俊寛の心も張合いが抜けたように、
淡い悲しみに囚われる。
そんなとき、私は憂鬱な心を抱いて、街上の撒水が
淡い灯を映した宵の街々を、微かな風鈴の音をききながら、よくふらふらと逍遙あるいたものであった。
たゞ宿酔猶残つて眼の中がむづゝく人もあらば、羅山が詩にした大河の水ほど
淡いものだから、却つて胃熱を洗ふぐらゐのことはあらうか。
なかには「まさかこれまでが」と思うほど
淡いのが草の葉などに染まっていた。
實や、人住んで煙壁を洩るで、……誰も居ないと成ると、南向きながら、日ざしも
淡い。