肉体的とも精神的とも分野をつき止めにくいあこがれが、低気圧の渦のように、自分の喉頭のうしろの辺に鬱して来て、しっきりなしに自分に
渇きを覚えさせた。
落葉の下を細々と流れる過去数百年の文学的伝統を見るがよい、清冽な水の一筋を、われわれは誇り気に汲むことはできるが、無数の旺盛な喉の
渇きを癒やすに足りない。
そうした
渇きに似た感情で、胸を責められるその上、成経、康頼らの心持と、自分の心持とが日に増しこじれてくることを感じた。
彼れは酒の香をかぐと急にえぐられるような
渇きと食欲とを覚えて、すれ違った男を見送ったりしたが、いまいましさに吐き捨てようとする唾はもう出て来なかった。
されど路傍なる梅の老木のみはますます栄えて年々、花咲き、うまき実を結べば、道ゆく旅客らはちぎりて食い、その
渇きし喉をうるおしけり。