永いヨーロッパからの航海か、米国からの航海を終えて、
瀬戸内海へ這入ったものでなければ、そう感動はしないだろうと思う。
瀬戸内海の海で、やりそこなつたこともあるし、自宅で薬品自殺して分量が多過ぎて却つて生返つたこともあつた。
瀬戸内海方面では、外から荒波と闘ってきた至味であるとしているのであるが、我々が見た感じでは、内海に育った色鮮やかな鯛の方に魅力を感ずるのである。
瀬戸内海の鳴門付近の職業漁師が餌に用いるのは、足長蛸という蛸の足であるらしい。
さて、もう一つは、小山祐士君の「魚族」であるが、これは、同作者の代表作「
瀬戸内海の子供ら」の「妹」たるべき佳作で、みつちり稽古のし甲斐のあるものである。
小豆島紋太夫の持ち船が、
瀬戸内海風ノ子島の、深い入江にはいって来たのは、同じその日の宵のことであった。
茲は
瀬戸内海であり、殊にズツと入海になつて居りますので、海は丁度渠の如く横さまに狭く見られる丈でありますけれども、私にはそれで充分であります。
私はしかし、小さい頃から和やかな
瀬戸内海の自然に親しむよりは、より多く人間と人間との関係を見て大きくなった。