「ふる川の向う岸・こちら岸に、大きくなって立っているみぬまの若いの」と言うてくると、
灌木や禾本類、ないしは水藻などの聯想が起らずにはいない。
小田原の山は蜜柑等の
灌木だけで高い樹木が全くないから陰がない。
小田原の山は蜜柑畑で、一面人体と高さの違はぬ
灌木ばかり、大樹の影や暗さがない。
しかし待てよ、畑で射られたのにしては、この
灌木の中に居るのが怪しい。
「ふる川の向う岸・こちら岸に、大きくなつて立つてゐるみぬまの若いの」と言うて来ると、
灌木や禾本類、乃至は水藻などの聯想が起らずには居ない。
なにものも及ばぬほどの熱心をもって、この科学者的の庭造り師は、順じゅんにすべての
灌木を試験していった。
峠の山ばたで「すいは」といふ
灌木の葉を取つて僕に食はしたことがあつた。
其向ふには、
灌木の林の前に茫然と立つて汽車を眺めてゐる農夫があつた。